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カレーだった

『おっ!遅かったな、そろそろ晩ごはんが出来るぞ!今日はなんとカレーだ!』

朝の準備の時点で薄々感づいていた晩ごはんのメニューだったが、そこは父さんの顔を立て、びっくりしたフリをしてあげた。

『はい!父さんこれ!』

と言ってさっきコージからもらったサザエを手渡した。

『どうしたんだこれ!?』

ボクはさっきのコージと出会った事や、この後一緒に焚火をしようと約束した事を話すと父さんは快く了解してくれた。

辺りはすっかり暗くなり、ランタンが照らし出す幻想的な景色の中であちこちから聞こえる楽しそうな会話。

その中で、普段料理をしない父さんが作ったカレーは今まで食べたどのカレーよりも美味しかった。

『そろそろ焚火でもするか。ごはんを食べ終わったらコージくんを呼んで来ていいぞ!』

それを聞いた母さんは、おつまみの準備を始めた。

晩ごはんのカレーを食べ終わったボクがコージを呼びに行くと、ちょうど向こうも食べ終わった所だった。

『コージ!父さんがウチで焚火しようって言ってるよ!』

するとお父さんがニコニコしながら

『ありがとう。さっきはコージと遊んでくれたんだね。私達も挨拶をしに行かないといけないね。』

と言いながら持っていた缶ビールを飲み干した。

ボクはコージ達を連れてのサイトへと案内した。

『こんばんは、昼間はうちのコージがお世話になったそうで…』

『いえいえ、こちらこそ遊んでもらって助かりました。ささ、こちらへどうぞ!』

大人達は焚火の前でお酒を飲みながら、キャンプ談議に花を咲かせている。

ボク達はその横で、拾ってきた薪をどっちが上手くナイフで削れるか競い合ったり、マシュマロを焼いたりしていた。

コージはお父さんとよくキャンプに行っているらしく、薪の割り方やナイフの使い方、火のおこし方等、色んな事を教えてくれた。

ボクの知らない世界をいっぱい知っているコージはボクの目にとてもカッコ良く映り、同い年なのに不思議と尊敬の念さえ持ち始めていた。

夜も更け大人達は焚火の片付けを始め、楽しかった焚火の時間は終わり、テントへ戻って寝る事になった。

するとコージが

『明日のサザエ採りどうする?』

と聞いてきたので

『もちろん行くに決まってるじゃん!』

と答えると

『オッケー!じゃあ明日朝ごはんを食べたらにくる。おやすみー!』

と言いながらニコッと笑い、走り去っていった。

翌朝